二種類の邂逅

人と会い語らうことが苦なのだと判らぬ人がのしかかってくる

周りとの距離が遠いと非難する人からはやはり離れていたい。

アイデンティティクライシスには二通りある。その一方にいま囚われている。

他人との語らいは不要なことである。他人の存在を確信できさえすればよい。

大雨を降らせた雲の隙間よりひととき見えた木星の白

木星が輝き朝焼けが裾を彩る。今日も始まっていく。

衛星が浮かびロープが垂れる日を夢に見て待つ空想して待つ

増税が必要だ等とウソをつく議員に呆れ新聞に呆れ

木の株のようなかたちのコンクリの冷たさがよい夏ことしも来る

灯り消しまぶたおろして横になり数分を待つ星見の夕べ

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滾りと迸り

ああ今朝も我が心臓は動いてる…うつつの中で安堵するとき

布団から這い出て眺める窓外に赤いレグルス淡いポラリス

指先のかじかむ朝に息吐きつつ一頁一頁愛書をめくる

「朝焼けにかぶる緑の色が好き」「いやあの色はちょっと薄すぎ」

温(ぬく)とさを一瞬にして滾(たぎ)りへと迸(ほとばし)りへと変える情勢

貧民の金を取るのが政治だと言わんがごとき消費税論

老人に金をやらぬが政治だと言わんがごとき後期高齢

アメリカに参拝するのが政治だと言わんがごとき米軍擁護

“引当金”山積みさせるが政治だと言わんがごとき内部留保擁護

寝る前に指先に触れ冷えを知るキーボのせいだと鼻息荒げる

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木星からの声

西空に鋭く光る星を見て木星かなと暦を探る

進化論否定論者と原爆の肯定論者は同じ人だそう

炙られるならば未来への希望がよい…原子の炎やリストラではなく

平成の景気で下がった給料を忘られりょうかと居間で呟く

駅ナカで胸を押さえて倒れちゃった。日曜の朝で空いててよかった。

イソップに「馬とロバ」なる話あり格差の国に合う話なり

メーカーが自慢の清涼下着でも石油と思えば深いため息

その人が遺した書物でその人を知るそのときの無念の心

地を揺らす自然と共に生きるには核分裂の灯では似合わじ

熱気あり湿気もありの日々は我がカラダには沿わじココロには激し

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妖怪とピアノ

未曽有の格差にもまれる日本にその字を読めぬ首相が一人

毎晩のホテルの飲酒の挙げ句には字を読む力八割方減る

KY×KY×KYで飯塚産の殿様になる

飯塚の外れに住まう友からも「愛想つきた」の世評が届く

九段にてパソコン通の友がいう我らが首相はエイリアスだと

毎晩の残業の挙げ句会社から「お前は要らぬ」とメールが届く

自動車が売れないというニュース聞く一兆の利益がやや減ったとも

恋人がなかなか永久の誓いへと踏み切ることのできない抑圧

今まさに19世紀の妖怪が極東の地をなめるように行く

鍵盤をぽんと叩くとピンと鳴る叩かずにいてはすんとも鳴らない

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